製薬会社の不適切説明が過去最少に――それでも残る「エビデンスなき営業」の実態

2026.9

A: 厚労省が出した製薬会社向けの情報提供ルールに関するレポート、見た? なんか不適切な事例がめっちゃ減ったらしいじゃん。

B: 2025年度の報告書ね! そうそう、ルール違反が疑われた薬は9件だけで、前年度からほぼ半減して過去最少だったんだよ。業界全体でコンプライアンス意識がかなり浸透してきた感じはあるね。

A: おお、素晴らしいじゃん! じゃあもう現場はクリーンってこと?

B: いやー、それが手放しでは喜べなくてさ。悪質なものは減ったんだけど、中身を見ると「それってどうなの?」って課題が浮き彫りになってるのよ。一番多かったのが「科学的な根拠(エビデンス)がない説明」で、違反項目の3割以上を占めてる。

A: 根拠がないって、具体的にどんなこと言っちゃってるの?

B: 例えば、あるワクチンの説明で、長期の追跡データなんて存在しないのに、担当者が口頭で「これ打てば一生モノの免疫がつきますよ!」って言っちゃったりね。

A: それはさすがに盛りすぎだわ(笑)。

B: でしょ? あとは、眼科の薬の説明会で、データとしては症例数も少なくて統計的にも怪しいのに、「あの有名な〇〇先生も大絶賛してます!」みたいに、権威ある医師の個人的な感想を盾に効果をアピールしたり。

A: あー…「エビデンス」じゃなくて「個人の感想」でゴリ押しする通販番組みたいなやつだ。そういうのって、どこで耳にするのが多いの?

B: やっぱり直接の対面が半分で一番多くて、その次がオンライン面談だね。密室の会話だと、つい口が滑っちゃうのかも。

A: なるほどねえ。昔に比べたらだいぶマシにはなったんだろうけど。

B: うん、他社の薬をボロクソにけなすような悪質なケースはほぼ消えたらしいよ。ただ、「面談時間が短かったから副作用の説明は省いちゃいました」とか、「先生に聞かれたから答えただけです」って顔をして都合のいい情報だけ渡すような、グレーな手口がまだ残ってるんだよね。

A: 形だけルールを守ってる風に見せて、肝心な安全情報をごまかすのは一番危ないね。

B: まさにそれ。件数は減ったからこそ、これからは「本当に中立で科学的な根拠に基づいた説明ができてるか」っていう、中身の質が問われてるんだと思うよ。