「箱出し調剤」は日本の薬局を変えるか? 効率化と安全性向上の先に待ち受ける未来

2025/04/10

登場人物
A(質問役): ちょっとおっとりした感じの薬剤師
B(説明役): 最新情報に詳しい、テキパキした薬剤師

A: ねえねえ、Bさん。なんか学会で「箱出し調剤」ってのが話題になったらしいんだけど、それって一体なんなの?箱からポンって薬出すだけ?なんか手抜きっぽくない?

B: あー、Aさん、それね!確かに名前だけ聞くとそう思うかもだけど、意外と奥が深いんだよ。簡単に言うと、患者さんに薬の入った箱をそのまま渡しちゃうって方法らしいの。

A: ええー!?今までみたいに、シートから出して数数えたり、一包化したりしないの?なんか想像つかないんだけど。

B: そうそう。ヨーロッパとか中国とか、結構そういう国ではもうやってるみたいよ。で、日本でもそろそろどうかって話が出てるんだって。

A: へえ、そうなんだ。でも、それって何か良いことあるの?ただ楽したいだけじゃないの~?

B: いやいや、それが結構メリットもあるみたいよ。例えば、薬の管理がすごく楽になるらしいの。どの患者さんにどの箱の薬を渡したかっていうのが、バーコードでピッてするだけでバッチリわかるようになるんだって。トレーサビリティが上がるって言うらしいよ。

A: ふむふむ、それはなんとなくわかるかも。確かに、たまに「あれ、この薬誰に渡したっけ?」ってなることあるもんね(笑)。

B: でしょ?あと、薬局側も準備が楽になるみたい。いちいちシートから出して、数を数えたりする手間が省けるから、もっと他の仕事に時間を使えるようになるかもしれないって。

A: なるほどね~。でもさ、患者さんごとに飲む量が違ったりするじゃん?例えば、3日分だけ欲しいって人に、10日分入った箱をそのまま渡すの?それってなんか不親切じゃない?

B: そこがね、ちょっと課題みたい。飲む日数の調整が難しくなるんだって。だから、リフィル処方箋っていう、繰り返し使える処方箋の仕組みの中で、薬局側がちょっとだけ日数を調整できるようになったらいいんじゃないかって意見も出てるみたい。

A: ああ、リフィルね!それならなんとなくできるかも。でもさ、今まで一包化してた患者さんはどうするの?箱のままじゃ飲みにくい人もいるんじゃない?

B: そうそう、一包化してる人には、今までみたいに箱を開けて準備する必要が出てくるから、逆に手間が増えちゃう可能性もあるんだって。だから、製薬会社にはバラの状態で薬を用意してもらう必要も出てくるかもしれないって話だよ。

A: うわー、なんか色々変わるんだね。製薬会社も大変そうだなぁ。設備とか変えなきゃいけないんでしょ?

B: そうみたい。それに、患者さんも今までと薬の管理方法が変わるから、ちゃんと説明しないと混乱しちゃうかもしれないし。

A: 確かにね。なんか色々な人に影響が出そうだなぁ。お医者さんはどう思ってるんだろう?飲む日数を自由に決められなくなるのは嫌がるんじゃない?

B: そうみたいね。だから、この箱出し調剤を実現するには、薬剤師だけじゃなくて、お医者さんとか製薬会社とか、色々な関係者がみんなで話し合って、納得しないといけないみたいよ。

A: なるほどね~。なんか、良いこともあるけど、乗り越えないといけない壁もたくさんありそうだね。

B: まさにそう!でも、ヨーロッパでは結構前からやってるみたいだし、日本も本気でやればできるんじゃないかって言ってる人もいたよ。薬の品質を保つっていう意味でも、箱を開けない方が良いらしいしね。

A: ふむふむ。でも、もし調剤が楽になったら、私たち薬剤師の仕事って減っちゃわないの?ちょっと心配だなぁ。

B: あー、そこも議論されてたみたいよ。でもね、効率化できた分、もっと患者さんの在宅医療に関わったり、他のもっと大事な仕事ができるようになるっていう意見もあったよ。逆に、効率化しないと、時代に取り残されて、薬剤師そのものが要らなくなっちゃう可能性もあるって話も出てたし。

A: そっかぁ。確かに、言われてみればそうかも。ただ楽するんじゃなくて、もっと患者さんのために時間を使えるようになるなら、良いことなのかもね。

B: そういうこと!だから、箱出し調剤は、ただの「手抜き」じゃなくて、これからの薬剤師の働き方とか、薬の安全性を考える上で、結構重要なキーワードになるかもしれないね。

A: なるほどね!なんだかちょっとわかってきた気がするよ。Bさん、ありがとうね!

B: どういたしまして!また何か気になることがあったら、いつでも聞いてね!